朝、通常は起床して洗面後に朝食を取るような時間帯に全く起きられず、午前中は身体がだるくて学校へ通えなくなっていた高校1年生の女の子のケースを紹介いたします。
夏休みが明けてから高校へ通えなくなり、朝起きられなくて困っていたが1ヶ月で通常通り通学できるようになった
高校1年、15歳、女性。
2020年4月の高校入学後、1学期は普通に学校へ通えていた。小学校と中学校で間欠的な不登校歴があった。小学5年生の頃、自治医科大小児医療センターで検査の結果、自閉症スペクトラムとの診断を下されている。夏休み明けの初日、布団から全く出られず、11時過ぎにようやく身体を起こすことが出来た。それ以降その状態が続いている。保護者が学校の先生方とも相談したが、いじめがあるわけではなさそう。本人曰く、「朝はとにかく頭が重くて痛くて、無理に身体を起こすと頭が落ちそうになります。」近くの小児科で診察してもらったところ、起立性調節障害でしょうと言われた。
初回来院時の身体の状態
カウンセリング後、血圧を測ってみると110/64でごく普通の範囲内。測定した時間は13:30。食事を取った後の昼過ぎであれば、今回のように外出も可能。夏休み明けの最初の頃は学校へ行きたい気持ちが強かったが、長らく(3週間)休んでしまったので、今はクラスメイトになんと思われるか気になってしまう。午後からなら学校へ行けると思うけど、ドキドキしてしまって行けなくなってしまう、とのこと。
頚椎を触診でチェックしてみると、第1頚椎(C1)に大きなゆがみ(回旋と傾きおよび動きの悪さ)がある。後頭部の筋肉が固い。右の胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)が極端に緊張している。下部頚椎の方も動きが悪く、首と肩をつなぐ筋肉が極端に凝り固まっている。胸椎も肩甲骨の間にある第6胸椎(T6)の棘突起が後ろにぽっこりと出っ張っている。動きも悪い。両腕が内側に巻いた状態になっていて、大胸筋の付け根(肩の前)を押すと圧痛がある。
施術の経過
1回目(当日):C1の回旋と傾きのゆがみを取る方向でアジャスト。T6をトン!と押すように、椎間関節の面を考慮しながらアジャスト。肩関節と肩甲骨のモビライゼーションで、肩周りの筋肉の緊張をほぐす。首の横にある胸鎖乳突筋を注意しながらほぐす。脚のマッサージ器で血行とリンパの流れを改善。胸の前を開くようにする大胸筋のストレッチのやり方を憶えてもらった。
2回目(3日後):前回の施術で首がだいぶ楽になったとのこと。今まで頭がぼんやりして重かったのがスッキリして気分がよくなった。朝の頭痛はまだあるが、布団から身体を起こすのがだいぶ楽になった。初回と同様の施術を行なった。
3回目(3日後):C1のゆがみが小さくなり、右の横突起の出っ張り感がかすかになった。ひどい頭痛は消失。首肩の凝っている感じはまだある。朝布団から身体を起こすのが楽になった。この日は朝8時5分に起きて洗面所へ行けた。同じ施術を継続。
4回目(4日後):主にC1とT6へのアジャストを継続。骨盤の方もゆがみがあるので骨盤矯正も行なうことになった。体調は良い。親に連れられて学校へ行くのも1人で学校へ行くのも恥ずかしい、もしくは怖いのであれば、LINEで繋がっているという仲の良い友達に朝迎えに来てもらうことを提案。(自転車で登校。)
5回目(6日後):今まで朝にあった頭痛や頭の重さが無くなり、7時~7時半に起きられるようになった。友人と一緒に久しぶりに学校へ登校した時は緊張してドキドキしたけど、担任や学年主任の先生方とクラスメイトの協力もあり、すんなりと教室になじめたそう。よかったよかった。同じ施術を継続。
6回目(10日後):朝の頭痛や頭の重さは頻度や程度が大幅に減少。起床が遅くなって遅刻することもあるが、朝7時頃に身体を起き上がらせて立つ事はもう無理なことではない。もう学校に行けないのかもしれないと考えていた頃は身体が不安でガチガチに緊張していたようだが、先生方やクラスメイト、両親の助けのおかげで精神的にも肉体的にも力を抜くことができたそうだ。
7回目(2週間後):C1やT6に若干の動きの悪さはあるが、初回来院時ほどではない。時々遅刻があるものの、ちゃんと学校に通えている。頚椎のゆがみや首の横の筋肉(胸鎖乳突筋)の過緊張があると、自律神経の乱れで身体がだるくなりやすいと再度説明。また同じ事が起こらないようにするため、2~4週間おき程度の頻度で背骨と骨盤のアジャストを受けに来てくださいと提案。
その後の様子
月に1~2回のペースでしばらく施術に通ってもらっている。
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